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後は、次の5番打者をなんとかしなくてはいけない。
バッターは右打席に片足だけ入り、入念にバッティンググローブをはめていた。
このバッターも、体格が良い。
ランナーがセカンドにいるので、打たれれば更なる一点をとられる。
追加点はなんとしても阻止しなくてはいけない。
大和はとりあえず、マウンドの好太に駆け寄った。
他の内野手達も近づいてくる。
好太はマウンドを降り、帽子を脱いで額の汗を拭った。
「悪いな、手が滑っちまった」
悔しそうにしている好太。
大和は好太がサインを無視して勝負を仕掛けたのではないかと少し思っていたが、どうやらただのコントロールミスだったらしい。
「気にしなくていいよ。それより、次から仕掛けて行くから、気合いを入れ直してね」
「おうよ」
「じゃ、しまっていこう」
大和は好太の肩をぽんぽんと叩いてから、ポジションに戻った。
他の野手も、一言二言好太に話かけてから戻っていく。
ポジションに着いた大和は、すぐに屈んでミットを強く二回叩いた。
まずは、アウトローのストレート。
このボールにバッターはぴくりと反応したが、バットは振らなかった。
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