12、局地戦

20/41

1941人が本棚に入れています
本棚に追加
/604ページ
「どうしたの?」 「次、大和だぞ」 なんの事だか分からなかったが、野田の指差した所を見てやっと理解した。 「次俺だね!」 大和は急いでバットを出し、ネクストバッターズサークルに向かった。 ピッチャーの安達は既に投球練習を始めている。 さらに、岩崎も素振りをしていた。 「やっときたか」 岩崎はニヤニヤしている。 大和は苦笑した。 「ところで、どうしようか?」 「まぁ、狙いは直球だな~。思い切り踏み込め!」 適当な事を言っているようにも思えたが、リードで手一杯だった大和にはちょうどよい。 打席に行きながら、踏み込むイメージを頭に浮かべた。 あの直球は怖いが、なんとかしなければ勝ちはない。 ヤマをはって、打ち抜く。 外角を流すイメージをしながら素振りを二度して、打席に入った。 安達は無表情で、キャッチャーのサインを見ている。 肩にバットをのせたまま、大和はまだ外角の直球を打つイメージをしていた。 しかし、初球は見逃したい。 安達のコントロールは大して良くないからだ。 カウントを悪くしてフォアボールでも、いまの状況では助かる。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1941人が本棚に入れています
本棚に追加