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「どうしたの?」
「次、大和だぞ」
なんの事だか分からなかったが、野田の指差した所を見てやっと理解した。
「次俺だね!」
大和は急いでバットを出し、ネクストバッターズサークルに向かった。
ピッチャーの安達は既に投球練習を始めている。
さらに、岩崎も素振りをしていた。
「やっときたか」
岩崎はニヤニヤしている。
大和は苦笑した。
「ところで、どうしようか?」
「まぁ、狙いは直球だな~。思い切り踏み込め!」
適当な事を言っているようにも思えたが、リードで手一杯だった大和にはちょうどよい。
打席に行きながら、踏み込むイメージを頭に浮かべた。
あの直球は怖いが、なんとかしなければ勝ちはない。
ヤマをはって、打ち抜く。
外角を流すイメージをしながら素振りを二度して、打席に入った。
安達は無表情で、キャッチャーのサインを見ている。
肩にバットをのせたまま、大和はまだ外角の直球を打つイメージをしていた。
しかし、初球は見逃したい。
安達のコントロールは大して良くないからだ。
カウントを悪くしてフォアボールでも、いまの状況では助かる。
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