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次は、左打者の野田。
打席をならし、安達に視線を合わせている。
「大和まで回るぜ! 今度は打てよ!」
ベンチで好太が大和の背中を叩いた。
大和はゆっくりと立ち上がり、ヘルメットとバットを取る。
「任せておいて」
好太にそういい残し、大和はグラウンドにでていった。
ネクストバッターズサークルに入り、野田を見る。
野田の表情に変化は無い。
まさにポーカーフェイス対決だ。
マウンドの安達も、野田を見慣れた涼しい顔で見つめる。
お互いがお互いの考えを探り合っているようだ。
大和は野田から目を離し、ベンチからの指示を見る。
どうやら、バントのようだ。
手堅く一点を取りにいくつもりらしい。
野田はバントの構えを取る。
それをみた釜内商内野陣がじりじりと距離を詰めてきた。
しかし、この程度のプレッシャー、野田にとっては何でもない。
むしろ、緊迫した場面の方が野田には良い。
安達はセットポジションに入る。
まずはファーストに牽制した。
戸部は直ぐに一塁へ戻り、その後でファーストがタッチする。
ボールが帰ってきた後も安達は戸部が気になるようで、再び牽制した。
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