12、局地戦

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打席に入っていつものルーティンをこなしていると、セカンドの戸部と目があった。 戸部は笑顔を浮かべている。 青山堂の中で一番小さく、中学生どころか小学生にすら見えてしまうほどの体格の持ち主の戸部。 しかし、その実力はぴか一で、湯島のスカウトが放っておかなかっただろう。 それなのに青山堂へ来た。 青山堂が悪いという訳ではないが、戸部になら他にも選択はあっただろう。 何が戸部に青山堂を選ばせたのだろうか。 その理由を大和は聞いたことがある。 その時に戸部は、最初から青山堂に行きたかった旨を教えてくれた。 それは、青山堂高校の美鈴と邦彦が見せてくれた誠実さにあるという。 中学時代から、戸部に美鈴と邦彦はアプローチをかけていたらしい。 青山堂高校は創部一年目ということもあり、最初から彼をレギュラーとして期待しているようだった。 美鈴や邦彦が何度も中学の練習を見に来てくれて、帰り道の途中等でいろいろと話しかけて来てくれたのが嬉しかったそうだ。 そしてもうひとつ。 青山堂以外、戸部に興味を示した高校が無かったと言うのだ。 大和は冗談かと思ったが、戸部が「ほんとうだよ」と淋しげに言うので、信じるしか無かった。
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