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青山堂ベンチの盛り上がりは最高潮。
全員がベンチから身を乗り出しで叫んでいる。
その中でも一際目立つ甲高い声。
「大和ー! ガッツポーズだ! ガッツポーズ!」
好太である。
まだ序盤で追いついたばかりなのに、早過ぎるだろうと大和は思った。
だが、安達に威嚇する意味でも、やって困る事は無いかもしれない。
大和はゆっくり、右手を空に突き上げた。
球場は、少し盛り上がる。
相手側からすればブーイングものだが、青山堂と観客は歓声を送ってくれた。
この中には、結城もいるだろう。
それに思いを馳せる。
大和にはそれで十分だ。
それで十分、これからも戦っていける。
戸部が皆とハイタッチしているのを見ながら、大和は二塁上でタイムをとってプロテクターを外した。
次の岩崎も良い当たりはしていたが、ファールになってしまい、結局三振。
これでスリーアウトになり、この回の攻撃は終わった。
大和は走ってベンチに戻っていく。
他のナインは既に準備を終えてグラウンドに出ていった。
「よく打った大和!」
好太が走り寄ってきて、ヘルメットを被った大和の頭を叩いた。
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