12、局地戦

33/41

1941人が本棚に入れています
本棚に追加
/604ページ
青山堂ベンチの盛り上がりは最高潮。 全員がベンチから身を乗り出しで叫んでいる。 その中でも一際目立つ甲高い声。 「大和ー! ガッツポーズだ! ガッツポーズ!」 好太である。 まだ序盤で追いついたばかりなのに、早過ぎるだろうと大和は思った。 だが、安達に威嚇する意味でも、やって困る事は無いかもしれない。 大和はゆっくり、右手を空に突き上げた。 球場は、少し盛り上がる。 相手側からすればブーイングものだが、青山堂と観客は歓声を送ってくれた。 この中には、結城もいるだろう。 それに思いを馳せる。 大和にはそれで十分だ。 それで十分、これからも戦っていける。 戸部が皆とハイタッチしているのを見ながら、大和は二塁上でタイムをとってプロテクターを外した。 次の岩崎も良い当たりはしていたが、ファールになってしまい、結局三振。 これでスリーアウトになり、この回の攻撃は終わった。 大和は走ってベンチに戻っていく。 他のナインは既に準備を終えてグラウンドに出ていった。 「よく打った大和!」 好太が走り寄ってきて、ヘルメットを被った大和の頭を叩いた。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1941人が本棚に入れています
本棚に追加