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音は大きいが、痛みは皆無。
むしろ、頭を叩いた好太の手の方が痛いだろう。
「この回も抑えて、次で安達をフルボッコだ!」
「そうだね。気合い入れて行こう」
「おう! 決めに行くぜ!」
好太はマウンドに走って行った。
騒がしいエースである。
「ナイスバッテイング!」
レガースを着けた川上がニコニコしながら近づいて来た。
今から準備をする大和に代わり、好太の練習に付き合うのだろう。
「この回、どう攻めるんだ?」
川上が聞いた。
「得点圏にランナーが出るまでは同じ感じかな。ストレートとカーブで行くよ」
「ランナーが出たら?」
大和は加藤が持ってきてくれたプロテクターを着けはじめる。
逆にヘルメットやバットは加藤に預けた。
「配球を変えるよ」
「川上! 早くしろよ!」
好太に呼ばれた川上は、大和に「がんばれ!」と声をかけてからホームベースに急いだ。
川上が何故ここでそんなことを聞いたのか、大和には理解できる。
この回、打順が三番からで、つまりクリーンアップなのだ。
失点する可能性は高い。
しかも、点を取った直後だけに、失点すれば青山堂のトーンダウンは避けられないだろう。
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