12、局地戦

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音は大きいが、痛みは皆無。 むしろ、頭を叩いた好太の手の方が痛いだろう。 「この回も抑えて、次で安達をフルボッコだ!」 「そうだね。気合い入れて行こう」 「おう! 決めに行くぜ!」 好太はマウンドに走って行った。 騒がしいエースである。 「ナイスバッテイング!」 レガースを着けた川上がニコニコしながら近づいて来た。 今から準備をする大和に代わり、好太の練習に付き合うのだろう。 「この回、どう攻めるんだ?」 川上が聞いた。 「得点圏にランナーが出るまでは同じ感じかな。ストレートとカーブで行くよ」 「ランナーが出たら?」 大和は加藤が持ってきてくれたプロテクターを着けはじめる。 逆にヘルメットやバットは加藤に預けた。 「配球を変えるよ」 「川上! 早くしろよ!」 好太に呼ばれた川上は、大和に「がんばれ!」と声をかけてからホームベースに急いだ。 川上が何故ここでそんなことを聞いたのか、大和には理解できる。 この回、打順が三番からで、つまりクリーンアップなのだ。 失点する可能性は高い。 しかも、点を取った直後だけに、失点すれば青山堂のトーンダウンは避けられないだろう。
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