12、局地戦

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そのボールを好太が掴む。 審判がアウトを宣言し、それと同時に場内が歓声に包まれた。 「ナイス!」 ブルペンを降りる好太の背中を叩いた。 「いやー、危なかったな。随分リードが強気だったんじゃねーか?」 「かもね。だけど、横の変化はまだ使ってなかったから、大丈夫だと思っていたよ」 「なるほどな」 「でも、確かに危険だった。ピッチャーが好太だったから出来たんだよ」 そういうと、好太が笑顔になった。 「なんだかんだ言っても、大和は俺を信頼してんだな! 次も任せとけよ!」 そういって、好太は気分が良さそうにベンチに戻っていった。 「さて、これからどうしようかな……」 横の変化を使ってこの回を抑えたが、横の変化になれられると一気に苦しくなる。 つまり、切り札を殆ど使い切っているような状況だ。 早く点を取らないと、ごまかしのピッチングはきかなくなってしまう。 早く点を取らなくては。 しかし、青山堂は有効な一手を打つことが出来ない。 相手もまだ好太を捕らえられていないから五分だが、ストレートで圧倒できる安達の方が有利だ。
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