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そのボールを好太が掴む。
審判がアウトを宣言し、それと同時に場内が歓声に包まれた。
「ナイス!」
ブルペンを降りる好太の背中を叩いた。
「いやー、危なかったな。随分リードが強気だったんじゃねーか?」
「かもね。だけど、横の変化はまだ使ってなかったから、大丈夫だと思っていたよ」
「なるほどな」
「でも、確かに危険だった。ピッチャーが好太だったから出来たんだよ」
そういうと、好太が笑顔になった。
「なんだかんだ言っても、大和は俺を信頼してんだな! 次も任せとけよ!」
そういって、好太は気分が良さそうにベンチに戻っていった。
「さて、これからどうしようかな……」
横の変化を使ってこの回を抑えたが、横の変化になれられると一気に苦しくなる。
つまり、切り札を殆ど使い切っているような状況だ。
早く点を取らないと、ごまかしのピッチングはきかなくなってしまう。
早く点を取らなくては。
しかし、青山堂は有効な一手を打つことが出来ない。
相手もまだ好太を捕らえられていないから五分だが、ストレートで圧倒できる安達の方が有利だ。
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