12、局地戦

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好太は凄い変化球やストレートを持っていない分、コントロールで全体の能力を上げている。 器用貧乏とでも言えば良いか。 逆に、安達には抜群のストレートがある。 このストレートが、厄介なのだ。 ただ打てないだけではない。 ストレートを意識しすぎるあまり、他の球も打てなくなってしまうのだ。 狙い球を絞れば良いのだが、それもなかなかうまくいかない。 そして、迎えた七回の攻撃。 先頭は野田。 「粘れ、野田!」 ベンチから好太の声が飛ぶ。 その声を聞いてか、野田はフルカウントからファールで凌ぐ。 ボールのようにも見える球でも、野田は確実にカットをした。 そして、ついに根負けした安達。 低めにワンバウンドする球を野田は見逃し、一塁に歩いていった。 「大和、打てー!」 「うてるよー!」 「頑張れ、大和君!」 そんなベンチの声を聞きながら、大和は打席をならす。 美鈴からバントのサインは出ていない。 「だったら……」 今までに一度も無い。 しかし、ここは勝負。 ホームランを狙う。 今日、安達とはタイミングがあっている。 内角に意識を強く持つ。
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