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好太は凄い変化球やストレートを持っていない分、コントロールで全体の能力を上げている。
器用貧乏とでも言えば良いか。
逆に、安達には抜群のストレートがある。
このストレートが、厄介なのだ。
ただ打てないだけではない。
ストレートを意識しすぎるあまり、他の球も打てなくなってしまうのだ。
狙い球を絞れば良いのだが、それもなかなかうまくいかない。
そして、迎えた七回の攻撃。
先頭は野田。
「粘れ、野田!」
ベンチから好太の声が飛ぶ。
その声を聞いてか、野田はフルカウントからファールで凌ぐ。
ボールのようにも見える球でも、野田は確実にカットをした。
そして、ついに根負けした安達。
低めにワンバウンドする球を野田は見逃し、一塁に歩いていった。
「大和、打てー!」
「うてるよー!」
「頑張れ、大和君!」
そんなベンチの声を聞きながら、大和は打席をならす。
美鈴からバントのサインは出ていない。
「だったら……」
今までに一度も無い。
しかし、ここは勝負。
ホームランを狙う。
今日、安達とはタイミングがあっている。
内角に意識を強く持つ。
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