12、局地戦

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そして、バットを素早くふりぬく。 ピッチャーの安達はボールを受けた。 キャッチャーとサインを交換している。 ファーストの野田がリードをして、安達にプレッシャーをかけていた。 そして、第一球。 安達が投げた。 ボールは内角高め。 狙い打ちだ。 大和は、バットを振り出す。 しかし、次の瞬間、ボールが予期せぬ変化をした。 「シュート!」 しかも、キレが良い。 バットはもう戻せない。 次の瞬間。 鈍い音が大和を突き抜けた。 大和の手からバットが飛ぶ。 「大和!」 ベンチから好太が飛び出してきた。 「大丈夫か?」 「これはやばい」 大和は額に脂汗をかきはじめていた。 内角に切れ込んだシュートは、大和の右の前腕を直撃。 その全ての勢いが右手に吸収され、ボールは地面に落ちた。 「はやく冷却スプレーを!」 磯島がベンチに向かって声をかける。 しかし、大和には分かっていた。 「多分、折れてる」 その声を誰かは聞いただろうが、誰も聞いていないフリをした。 直ぐに冷却スプレーを当てられるが、痛みはいっこうに引かない。 そして、触られただけで、もの凄い痛みを感じる。
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