1、あのマウンド

6/18
前へ
/604ページ
次へ
「ちょっと無理だね」 そう答えるしかなかった。 コントロールの話を大和にするくらいなら、リトルのピッチャーに聞いた方がましかもしれない。 それくらい、大和のコントロールはひどかった。 「とにかく、頑張れ!」 中谷がミットで大和の胸を叩いた。 「リラックス」 ファーストの野田が一塁に向かいながら言った。 それに倣うかのように、他の野手たちも心配そうな顔をしながら定位置に戻っていく。 マウンドには中谷と大和だけになった。 「真ん中で良い! 真ん中に直球を投げ続けろ!」 中谷の怒気をはらんだ言葉に、大和は二、三度首を縦に振った。
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1941人が本棚に入れています
本棚に追加