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『ふわあ~…』
朝の緩やかな空気の如く、大きな欠伸をする。
『…いい…天気だな』
雲1つない青空が広がる。
カンカンカン…
金属製の階段を駆け昇る音。
『あ! やっぱここでした?』
一人の男が屋上に現れる。
『おう…』
『ヒデさんの席っスもんね、そこ』
男が屋上に出るための扉が設置された建物の上にある給水タンクを指差して言う。
『ん~…まあな』
『あれ…どうしたんスかヒデさん?』
『ん~…まあな』
給水タンクの上のヒデさんと呼ばれる男は上の空だった。
ビュウゥ…
『…』
風が吹き抜ける。
穏やかでありながら
どこか不安を誘うような
風が…
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