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「……あー………」
ゆっくりと顔を上げて、時計を見る。多分柚がもうすぐ学校から帰って来る時間だ。
怠い。
あー…今日なら遅く帰って来ても父ちゃん怒らねぇから、もう少しだけ遊んでていいぞ。
だからもう少しだけ、
俺に考える時間を。
「ただーまー」
って。
ほら、思った側から。
「あー……行く、か…」
可愛い息子のご帰宅だ、迎えてやるのが父親だからな。溜め息なのか深呼吸なのか分からない息をひとつ、俺は予想以上に重くなっていた腰をどっこらせと持ち上げると、息子の待つリビングへ足を進めた。
「おかえりィー」
そして
少し、大事な話をしよう。
小さな嘘と
大きなこれからの話を。
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