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俺の仕事は劇作家。
所謂、劇の脚本を書く職業だ。
俺の脚本を好きで使ってくれている劇団もあるが、それほど有名でも人気でもない、ぶっちゃけた話フツーの劇作家。
昔は役者を目指したものだが、残念ながら俺にそっちの才能はなかった様だ。
嗅ぎ慣れた匂いと、適度に散らかっている机。半年ほど前に買い換えたノートパソコンだけが微妙に浮いていた。
年季の入った椅子に腰を掛け、閉じたままの画面を起こして電源を入れる。耳に心地良い機械音が耳を掠める。
その時だった。
ピンポン、と
インターホンの呼鈴が鳴ったのは。
「……ん、宅急便か?」
それならすぐに済むだろうと、電源はつけたまま画面を軽く倒して俺は玄関へ急いだ。
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