プロローグ

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男は歩いていた。 その暗い道を・・・。 男は歩いていた。 傷付き動かぬ体を引きずり・・・。 まだ若い…20代にはとどいていないだろう。 不意に バタッ!ズシャァッ! 男は大きく倒れてしまい、その拍子に水溜まりにはまり、泥水を飲んでしまった。 『うぇぇ・・・なんだ?・・・雨?』 男はそこではじめてまわりの状況に気が付いた。 地面はかなりぬかるんでいた。そう、辺りにはかなりの雨が降っていたのだ。 しかし、男はまったく気付いていなかった。 よく見ると、男の体は血で染まっており、特に両目はかすれていて、耳からも少なくない血がでていた。 〈気付いていない〉のではなく〈気付けなかった〉のだ。 それほどまでに男は傷付いていた。 立ち上がり辺りを見回すと、呆然と男がつぶやく 「なんだったんだ、今までやってきた事は?」
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