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「俺は、解らないんだよ………お前の事が。」
和樹がぽつりと溢した言葉は、俺達の年齢に似合った、青臭い台詞。
馬鹿らしい。
そう笑い飛ばしたいのに、俺は唇を噛み締める事しか出来なかった。
何処までもコイツは甘い。
自分を裏切った奴なんて、無視したら良いのに。
理解なんてしなくて良いのに。
和樹は、子供の頃から純粋で、大きくなって強くなった。
「取り残されてたのは、俺だけなのかな。」
言うべき言葉は、相変わらず見つからない。
だけど、わかったのはただ一つだろう。
俺は、何時までも利己主義な子供のままでいたんだ。
「………俺、は……。」
笑い飛ばしたいのに。
声が震えた。
fin
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