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「此方へ来い“帆(ハン)” 崇沽」
「はいっ」
それは自らの家名が“李”から“帆”に変わった頃のことだった。
城内の一角……少し開けた場所に呼び出され、一人の子供の前に通された。
年が近いという理由で皇子の剣の相手に選ばれたのだ。
「第一皇子であらせられる朔宵様だ。よく仕え、始終共にあるように」
自分にそう言い付けたのはここまで剣を教わった師(センセイ)だった。
師が自分を選んでくれたことが誇らしく目前に立つ二つ下の子供に勢いよく伏礼する。
「御意っ!」
これが朔宵との出会いであった。
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