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「次の者!!かかってこいっ!」
――コツン
「痛……っ!何をする崇沽っ」
剣の柄で叩いたら頭を押さえて恨みがましそうに見上げてくる。
もう身長もあまり差がなくなってきた。褐色の目も今ではしっかりと生が宿っていた。
あれから五年――
崇沽は十七
朔宵は十五となっていた
「お前の相手をさせていたら兵の練習にならんだろう」
どうやら崇沽にもここ五年で説教癖がついてしまったらしい。
「仕方がないだろう?崇沽が相手をしてくれないんだから」
「だからといって余り訓練も出来てない新米兵士を虐めないでくれ……。
お前相手では可哀想過ぎる」
それほどまでに朔宵は強くなっていた。そこらの大人では歯が立たない程に。
「じゃあ崇沽……っ」
「駄目だ。俺は今はもうお前の相手役じゃない。禁軍の一員なんだから……訓練とか……」
う゛……っ
そんなキラキラな目で見られても駄目なものはっ
「……わかった」
いつも崇沽の負けだった。
朔宵の急激な成長に合わせて崇沽も腕を上げた。
禁軍に迎えられたのは二年前――
最年少兵士の誕生だった。いつしか崇沽には夢が生まれた。
この朔宵が王として玉座についた時……隣りに居たい。
彼の作る世界を同じ高さで見てみたい――と
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