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「不慮の事故で死んだ人間には『特権』が与えられるんだ。一週間だけ、自分の元いた世界を自由に歩ける。見ることも出来る。だけど現世に生きる人々は、こちらに触れられないし見えないし、こっちの言ってることも聞こえない」
お茶が熱い。
茶器を持つ手をさり気なく替える。
「友人がいなかったり、未練がなかったり、もう一度見ること会うことは余計辛いなんて人は、この『権利』を破棄して『眠り』についてるよ。その身体を完全に捨てる行為のことだけれどね」
黒頭巾もお茶を飲む。
不思議だ。さっきから黒頭巾の顔を把握出来ない。
顔は確かにこちらをむいていて、聞こえる声は確かに顔の中のパーツである口から発されているのに。
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