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四人はベースキャンプで支給品の確認を行い、湖の近く、エリアⅠと呼ばれる所まで来ていた。
「はぁ~」
煉は口を開きっ放しでそう言った。
「いゃあ、いつ見てもここはキレイだねぇ~」
エトナが感嘆する。
「ああ、まったくだ」
蒼鬼もそれに答える。
「煉、ここに来るのは初めてなのか?」
「………」
「煉?」
「……あ?あぁそうだな」
「……ま、いいか」
ちなみに湖の周りにはランゴスタ一匹いなかった。
しかし、山の頂上付近は豪雪で、全く見えなかった。
『やっぱり古龍だからな、大概のヤツらはいなくなってるな』
古龍等の強力な個体が居る場合、他のモンスターは成りを潜めるか、一旦その地から離れる。故にモンスター自体を見る事がほぼ無くなる訳だ。
カノンがそう思っていると蒼鬼が、
「そろそろ行くか」
と言った。
「ん、そだね」
「え、もう行くのか?」そうして山を登り始め、口を開けていた洞窟に入った。
洞窟を中程まで進んだ所で上の方から何かが静かに、だが素早く歩く音が聞こえて来た。「なんでいるんだ?」
首を傾げる普通ならばいない筈……。
だが、
「どうした?カノン」
煉が聞いて来た。
「あぁ…先に行っててくれ」
「うん…」
「気をつけろよ」
エトナと蒼鬼はそう言って出口に向かって走っていた。
「どういう事だ?」
「あぁ、とりあえず先に行っててくれ、すぐに追いつく」
そう言われた煉は、
「分かった」
と言い残し二人の後を追った。
「さて、と…降りてこいよ」
その言葉に反応したのか、上から<何か>が落ちて来た。
「俺は急いでるんでね、さっさと終わらせてもらうぜ!」
その<何か>は白いブヨブヨの皮膚を持ち、長い首に付いた真っ赤な口を持つ飛龍、[フルフル]だった。
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