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「カノンは大丈夫かなぁ?」
走りながらエトナが呟く。
「大丈夫だろう」
すぐ横を並走していた蒼鬼が言った。
「どうしてだ?」
少し後ろを走っていた煉が聞いた。
「あいつはイイ所で登場するからな。……本人は謀って無いらしいがな」
蒼鬼が少し苦笑しながら答えた。
゙――――――――――!!!゙」
フルフルは咆哮した。
通常ならば耳を押さえねば失神しかねない大音響。
だが、
「うるせぇな…」
そう言いながらカノンは全く微動だにせず、ゆっくり大剣を構えた。
「行くぜ!」
言うが早いか、言い終わらない内にカノンはフルフルに向かって斬り掛かっていた。
「ハッ!」
そう気合いを入れながらカノンはフルフルの足を横凪ぎに斬りつけた。
フルフルはこのまま斬られてはたまらないと、体内発電をしようとしていたが、すぐにカノンに飛び退かれてしまう。
フルフルは体内から物凄い音を出しながら紫電を撒き散らしている。
「ンなもん出しても当たらなけりゃ意味ねぇよな」
そう呟きながら大剣を上段に構えた。少しした所で放電が止まる。
「セイッ!」
また気合いを入れながらフルフルの首を斬り付ける。
゙―――――――!!!!゙
フルフルは悶えている。
「テメェに怨みはねぇが、これで終わりだ」
そう言いながらカノンは素早くポーチの中から[あるもの]…小樽爆弾を取り出し、即座に点火し、フルフルの口の中に放り込んだ。
煮え切らないなんとも情けない音を出して小樽爆弾が爆発した、フルフルはこれ以上無い程苦しんでいる。
「オラァッ!」
全力で大剣を頭に振り降ろす。
鮮血が撒き散り、白の胴体を赤く染める。
「急いでるんでな」
そう言い残してカノンは倒れ伏すフルフルを残して走り去った。
洞窟に静寂が戻る。
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