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直撃を受けた怪鳥は、勢いのまま頭(こうべ)を垂れる。
青い影は素早く打ち落とした鉄塊を右から左へと回す。
余り間を置かずに再び頭を上げる怪鳥。
丁度怪鳥から鉄塊が見えない位まで回し、
「そりゃあ!」
勢いと掛け声と共に鉄塊を回転のまま振り上げる。
鉄塊は怪鳥の頭に吸い込まれる様に接近し、
"―――ッ!"
断末魔の叫びを上げる間すら無く、頑丈な筈の嘴を砕け散らし、横倒しになった。
怪鳥が起き上がる事はもう叶わない。
「……っと。無事かい?」
青い影、ランポスフェイクシリーズを着た青年が言った。
「ああ、助かった。ありがとう」
青年は、その青い青年に礼を言った。
「オレはクルツってんだ。お前はなんてぇんだ?」
クルツと名乗った青年は言った。
「俺は、カノンだ」
青年、カノンが名乗った。
「で、なんだってイャンクックに追っかけ回されてたんだ?」
クルツはふと思い、聞いた。
「あぁ、今日ここに来たのは特産キノコの採取にだったんだが、ばったり出くわしてこのザマだ」
カノンが捻った足を軽く叩きながら言う。
「あー、なるほど。そりゃうっかりだ」
クルツが笑いながら言った。
カノンもまったくだ、と言って笑った。
ひとしきり笑った後、クルツが口を開き、
「さって、そろそろ相方が来るかな?」
と言って立ち上がる。
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