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「相方?……仲間がいたのか」
「ま、な。ほら、噂をすればなんとやら、だ」
クルツが指を差す。
そちらから、黄昏色の陽光を弾きながら誰かが歩いて来ていた。
場違いながら、もうこんな時間か、とカノンは思った。
「よーっす。もう終わっちゃったぜマオ姉さん」
クルツが軽く手を振りながら声を上げる。
マオと呼ばれた人物、恐らく女性だろう、が手を上げ、
「なによ、終わってんなら教えなさいよ。……誰その坊や」
クルツに問い掛けた。
「んー、助けてやったヤツ。オレこいつの命の恩人だぜ?」
な。とクルツがカノンにアイコンタクトを試みる。
少し苦笑したが、
「ああ、その通りだ。あんたがいなかったら危なかった」
とそれを肯定する。
「ふーん。じゃ、さっさと帰るわよ。もう馬車来てるだろうし」
マオはそう言って踵を返した。
その時気付いたが、彼女の装備は名高い[シルバーソルシリーズ]だった。
背負っているのはこれも有名な[シルバールーク]というガンランスだ。
それが意味する事は、彼女は超一流ハンターだという事だ。
さらに、彼女と対等に話すクルツも、今は妙な風体だが、かなりの装備を持っているのだろう。
腰に下げている[イカりクラッシャー]がそれを物語っている。
だが、
「じゃあな。クルツ」
カノンは先程までの態度を全く変えず、別れを告げる。
それを見て、ニヤリとし、
「おう。また縁があったら会おうぜ。カノン」
クルツもまた態度を変えずに答える。
そうして、クルツとマオは去って行った。
少し話しているようで、酒、酔っ払いなどの言葉も聞こえた。
マオがクルツに腕を上げているのも見えた。
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