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二人の姿が視界から消えるまでカノンは見ていた。
そうして二人の姿は見えなくなり、仰向けに倒れ込んだ。
何となく。意味など無い。
倒れ込んだまま、暫ぼうっとしていた。
黄昏時は宵に包まれ、さらに深い夜の帳がそらに落ちる。
「―――すごいな。あいつら」
一人ごちる。
「俺もいつか、あいつらと同じ……いや、それ以上になってやる……!」
腕を伸ばす。空へ、星輝く夜の空へ。
「絶対だ。必ず、あいつらより強く……!」
伸ばした手を、視界を覆うように降ろす。
自然、目は隠れる。
「必ず……あいつらより……」
その後暫呟いていた。
それを星が照らす。
手を退け、空を見上げる。
ずっとそれを続けていた。
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