―序幕―

1/1
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ

―序幕―

一人の青年が、紅き龍と向かい合っている。   青年は黒く、禍々しい鎧で頭以外を覆っている。 両手に構える大剣も漆黒。 頭部以外は、暗黒に呑まれているかのようだ。   青年の後ろには三人、その全てが倒れている。   場所は火山。その奥地。 人はそこを[決戦場]と呼ぶ。 その名の通り、退路は一つしか無く、その退路もすぐに抜けられるものでは無い。 さらに、そこには二筋の溶岩流。 入浴すればたちまち体は焼け、溶けるだろう。   そんな孤立しきった場所で龍と青年は向かい合う。   と、突然龍が超高空へと飛翔する。   高く、ひたすら高くまで飛び、一息入れ、急降下し、青年に向かって高速で滑空してくる。   青年も空高くまで跳ぶ。 大剣を肩に掛け、落下する。   紅き龍と青年が衝突する……。   ――――――――――――――
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!