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『娘は一人寂しく東京へ戻って行きました。娘は東京でお仕事をいただき娘なりに必死に頑張っていたようです。一人東京で暮らす娘のことを思うと活躍してくれればくれるほど親として嬉しい反面寂しくもありました。二度と帰ってくるなと言ってしまったもののやはり娘の顔は見たいものですそして何より風邪をひいてはいないか病気になってないかと心配ばかりしておりました。この春娘がずっと続けてきた仕事が一段落するようです。自分のことをわかりもしないで一人で強がってきた娘もこれでやっと肩の力が抜けるのかも知れません。ただの私の娘になって戻ってくれるのも知れません。娘は強い子ではありません人の前では強がっていても陰ではいつでもメソメソしていた子です本当はいつも誰かに頼っていたい弱い女です。ひとみ…もう頑張りすぎる必要は何もないんだよ。お父さん15年間毎日欠かさずずっとお前のラジオ聞いていたよ…遠く離れてはいてもお前の元気な声を聞いて安心していたよ…顔が見られなくてもお前のことちゃんとわかっていたよ…よく頑張ってたなあんなに小さかったお前がいつのまにか人さまの前で話をしてるなんてお前はお父さんの誇りだった…もう充分お前なりに頑張ったじゃないか…帰ってこいお前の生まれ育ったこの故郷へいっぺん帰ってこい骨休みでいいから帰ってきて一度肩の力を抜いてみろそれからもう一度力をためて自分のやりたいことをやればいい…ひとみ…もう強がる必要なんて何もないんだよここにはお前が大好きだった山の景色があるお前がお父さんと泳いだ澄んだ小川がある帰ってこいお父さん待ってるから』
ひとみ「お父さん…」
ひとみ「ラジオをお聞きのみなさんごめんなさい…少しだけ私に時間をくださいお父さん今この放送を聞いてくれてますよね…私の声が聞こえますよね」
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