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木々が赤や黄色や橙などの思い思いの化粧をし、人々の視線を奪い始める頃、僕の住む村では豊穣祭が行われる。
見事に実った林檎や葡萄を神に捧げ、大地に感謝するのだ。
今年は一際豊作となり、例年よりも祭が賑わっている様に見える。
若い娘達は普段より沢山の白粉を塗り、まるで色とりどりの木々に嫉妬させるかの様にここぞとばかりに着飾った。
そしてその可憐な姿に吸い寄せられる小鳥の様に、これまた着飾った若い男達は声を掛ける。
若者達にとって、村人が皆集まる豊穣祭は出会いの場でもあったのだ。
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