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毎年、僕の中で苦痛と期待が渦巻くこの日…豊穣祭。
客人として祭を楽しむ事は許されなかったが、ほんの数分だけ僕にも豊穣祭の様子を垣間見れる瞬間があった。
皆好き放題に騒いでいるこの豊穣祭で、一番の核となる大地と神への感謝をする時間。
村の広場の中心に皆が持ち寄った薪で火を焚き、火を神に見立ててその回りで祈りを捧げる。
そして天使と呼ばれる者が祝福の歌を捧げる。
そう、その天使こそ僕の役目なのさ。
自分で言わなくてはいけないのは少し恥じらう物があるけど、僕の声は実に美しい。
皆と同じ言い方をすれば、さしずめ大天使ガブリエルの子守歌の様。
この異常と言っていいまでのボーイソプラノが、まるで天と地の様に僕の運命を掻き回してくれたのだけれどね。
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