3年前の、悪夢

7/11
前へ
/129ページ
次へ
一瞬の静寂が流れた。学はドクドクと噴水のように血が流れ出す右手(があった場所)を見つめていた。 「きゃぁぁああ!」 悲鳴を挙げたのは祐介の彼女、『佐々岡綾』である。 「綾!」 祐介は綾の近くに駆け寄ると、肩を抱いた。 「ゆ…祐君……血が…血が…」 「綾落ち着け。大丈夫だから…」 綾の叫び声を皮切りに、クラスが騒然となった。ガチガチと震えている者、恐怖で泣き出す者、ただ呆然と立ちすくむ者……。 「はい、うるさいぞー」 イシイの声など届くわけがない。イシイはため息をつくと、さっきのリモコンを挙げた。 「騒いでる奴ー、殺すぞー?」 「静かにしろ!殺されてーのか!?」 このドスの効いた声の持ち主は、『皆川隼人』である。なにかと先生と対立しているが、不良グループなどには入っておらず、いつも一人で居るタイプだ。 竜の誘い(グループ入り)を何度も断っている。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

593人が本棚に入れています
本棚に追加