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一瞬の静寂が流れた。学はドクドクと噴水のように血が流れ出す右手(があった場所)を見つめていた。
「きゃぁぁああ!」
悲鳴を挙げたのは祐介の彼女、『佐々岡綾』である。
「綾!」
祐介は綾の近くに駆け寄ると、肩を抱いた。
「ゆ…祐君……血が…血が…」
「綾落ち着け。大丈夫だから…」
綾の叫び声を皮切りに、クラスが騒然となった。ガチガチと震えている者、恐怖で泣き出す者、ただ呆然と立ちすくむ者……。
「はい、うるさいぞー」
イシイの声など届くわけがない。イシイはため息をつくと、さっきのリモコンを挙げた。
「騒いでる奴ー、殺すぞー?」
「静かにしろ!殺されてーのか!?」
このドスの効いた声の持ち主は、『皆川隼人』である。なにかと先生と対立しているが、不良グループなどには入っておらず、いつも一人で居るタイプだ。
竜の誘い(グループ入り)を何度も断っている。
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