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海は祐介を見つけると、手を振った。その手には、もちろんAEPウォッチが付けられていた。
「遅かったな」
「うん…」
「憲一には連絡とった。今こっちに向かってる」
普段無駄に明るい海も、今までに見たことのないくらいに暗かった。
「ありがと。それより、これからどうすれば…?」
祐介の質問に、海は表情を曇らした。
「祐介ー、海ー!」
二人は声のする方を見て、手を振った。
坂の上まで自転車で来たせいか、憲一は息を切らしていた。
憲一は野球部に所属している。身長180センチ、体重80キロと大柄で、メガネをかけている。テニス部に所属している二人より、力は強い。
そんな憲一を見て、綾は祐介の後ろに隠れた。
「こんちは、綾…さん?」
憲一は精一杯の優しい声で言った。綾は、ちょこんと頭を下げた。
「綾、これが前に話した憲一。見た目恐いけど優しいよ?」
祐介を信じたのか、綾は後ろから出て来た。
「よろしく……お願いします」
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