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「そうだよ…選ばれたんだって。笑っちゃうよね…五日後から始まるらしいよ」
「祐介…あんた本気で…」
「戦うよ!?こんなもんで繋がれてさ…爆発すんだよ?これ」
AEPウォッチを母の目の前に突き出した時、母の目に涙が浮いているのに気が付いた。
「母さん…?」
母は何も言わずに、祐介を抱きしめた。高校二年にもなってどうかと思ったが、母は女手一つで祐介を育てていて、気が強かった。そんな母が泣いているのを初めて見た事もあってか、何も言えなかった。
「明日から…県外に行くんでしょ?」
母は頷いた。
「祐介?」
「ん?」
「生きてね…絶対……」
涙が溢れてきた…。綾を不安にさせないように、弱みを見せないように、強がっていた祐介の気持ちが、母の前では馬鹿らしく思えた。
「泣きなさい…。みんなの前で泣かないように」
祐介は、最後の別れを告げるかのように…大声で泣いた。
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