一日勤務、日給2億

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プレゼントを抱えたイオンは、世界中を飛び回る。間違いのないよう、確実に希望の物を届けなくてはならないので体力だけでなく神経も使う。 「ちくしょー……今年は寒いな」 代々伝わる移動手段――それは自転車だ。トナカイなんかが引くわけがない。それこそ一年かかってしまう。 この自転車は特殊な物で、一漕ぎで最高100kmも進む。イオンは大量のプレゼントを抱えながら、必死に一件一件回っていった。 雪が降り積もる中、イオンは身体を両腕で抱く。あったかそうなサンタクロースの衣装だとはいえ、さすがにこの気温の中では敵わない。 「…………ってーか、なんでサンタクロースってこんな目立つ服装しなきゃならないんだ」 彼が身につけている真っ赤な衣装は、雪の白さに反射して鮮やかに光っている。 しかし、そのなかで一つだけ、イオンが微笑む物が。 「マフラー、あったかいな……」 首元に巻かれている薄いブルーのマフラーは、メリアが数年前に一生懸命編んでくれた物だった。 イオンはそれに触れる度、仕事の辛さを忘れる事ができた。 「さて、もう少しだ」 自転車を一漕ぎ、時刻は夜の6時だった。
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