一日勤務、日給2億

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「あー……だりぃ」 口をだらしなく開け放ち、イオンは頭を垂れた。彼の居る部屋は荷物でごった返している。角のほうにある大きな樫のツリーはその大量の荷物によって見えなくなっていた。 外の風景に見飽きたのか、イオンはクルリと振り返り、足の踏み場すらほとんどなくなった部屋を一望した。 よく見ると、荷物は一つ一つ綺麗にラッピングされている――――クリスマスプレゼントだ。 イオンはその中の一つを【アメリカ行き、アメリアへ】拾いあげると、大きなため息をついた。 「ロメオ爺さん……まだかよ」 部屋の入口にある古い壁掛け時計を見ると、時刻はすでに夜の8時を回っていた。 その隣には、真っ赤なふわふわな衣装が掛けてある。イオンはそれを見る度、着たくない、と嫌がるのだった。
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