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イオンが一人で退屈していると、部屋を軽くノックする音が聞こえた。
「…………はい」
「あ、イオンこんにちは」
「メリア!」
メリアと呼ばれたそのかわいらしい少女は、イオンに向かってニッコリ笑った。寒そうに手を合わせると、入っていい?と目配せする。
イオンはそれをただ無言で頷くだけ。どうやらこの少女に好意をもっているようだ。
「あちゃー…また今年も大変そうね」
「ま、まぁね」
部屋の中の大量のプレゼントを見、メリアは形の良い眉を下げた。
一方イオンはというと、プレゼントの山と、サンタの衣装を必死に片付けている。メリアには、自分がサンタクロースという事を告げていなかった。この大量のプレゼントは、メリアの前ではたくさん居る親戚に宛てるという事になっている。
「ねぇ、ロメオ爺様は?」
「あぁえっと……買い物」
「そっか、元気よねーもう歳なのに」
まさかプレゼントの仕入れをしに出掛けているとは言えない。ぎこちない口調で、イオンは必死に誤魔化した。
「今日は寒いわ」
「あぁ、そうだな……雪が積もってる、ほら」
「うわぁ……最高の眺めね」
メリアを窓辺へ促し、その隙にイオンは未だ必死にプレゼントを片付けた。
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