一日勤務、日給2億

6/11
前へ
/37ページ
次へ
メリアの両親は13年前のクリスマス、彼女とイオンが5歳の時に――殺された。 12月24日、クリスマスイブの夜メリアの家に強盗が入った。彼女の枕元にプレゼントを渡そうと起きていた両親は殺され、部屋の隅で寝ていたメリアだけが生き残った。 メリアが朝起きると、大切そうにプレゼントを抱えた両親が、血塗れになって倒れていたのだ。 だからこうして、クリスマスが近くなるとイオンの家にやってくる。一人だと不安だから。 イオンはあえてその事に触れない。彼女が話しだすまでクリスマスの話は絶対にしなかった。 「ふう……今お茶煎れてくるからな」 「うん」 一通り片付けが終わったのか、部屋は妙にこざっぱりしていた。 イオンが台所に行くのを見届けた後、メリアの表情は一気に暗くなった。 「サンタクロースなんて、いないもんね」 どこか寂しげで、今にも泣きそうな顔をする。こんな所をイオンが見たら、相当取り乱すだろう。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加