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メリアの両親は13年前のクリスマス、彼女とイオンが5歳の時に――殺された。
12月24日、クリスマスイブの夜メリアの家に強盗が入った。彼女の枕元にプレゼントを渡そうと起きていた両親は殺され、部屋の隅で寝ていたメリアだけが生き残った。
メリアが朝起きると、大切そうにプレゼントを抱えた両親が、血塗れになって倒れていたのだ。
だからこうして、クリスマスが近くなるとイオンの家にやってくる。一人だと不安だから。
イオンはあえてその事に触れない。彼女が話しだすまでクリスマスの話は絶対にしなかった。
「ふう……今お茶煎れてくるからな」
「うん」
一通り片付けが終わったのか、部屋は妙にこざっぱりしていた。
イオンが台所に行くのを見届けた後、メリアの表情は一気に暗くなった。
「サンタクロースなんて、いないもんね」
どこか寂しげで、今にも泣きそうな顔をする。こんな所をイオンが見たら、相当取り乱すだろう。
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