⑮歳 ③

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やっぱり私は何も分かっちゃいなかった。 しんどい…つらい…もう辞めたい。 たった数時間で何回思ったことだろう。 私は給料が入った封筒を前に家でため息をついた。 あの後、仕事が終わるとすぐ祐介に電話をして、会った。しばらく二人で話したあと、近くのロイヤルホストにご飯を食べに行った。 初仕事でご飯が喉を通らない…わけがなく、むしろ緊張から解放された安心感でガッツリ食べた。 祐介もビックリしていた。 ファミレスとはいえ、いつもよりご飯が美味しかった。 祐介とバイバイして、私は寮への道を帰った。 夜風が気持ち良くて遠回りをしたら、あの、ホスト達が大勢いる場所まで来てしまった。 目立たないようにコソコソ歩いていると、やっぱり怪しいのか、誰も声をかけてこなかった。 (良かった…)と、安心したのも束の間、一人のホストが声をかけてきた。 「おねーさん☆どこ行くん?今帰りなん?良かったらうち飲みにこーへん?」 基本ホストに声をかけられても行く気がなければそのまま無視すればいい。 けど私は話しかけられると無視出来ない性分だった。 返す言葉もなく、頷いて通り過ぎようとすると、「待ってぇな。もぉちょい喋べろぅや。おねーさん若いなぁ。年なんぼなん?」 (別にこっちは何も喋ってないやん。勝手に喋ってるだけやし。) とか思い、歩きながら短く、「十五。」とだけ答えた。 本当の年を言ったのは未成年だから店には入れない。つまり、声をかけても無駄だと思わせるため。 未成年だと分かればしつこく声をかけてこないだろうという考えは甘かった。 「まぁじで?やっぱなぁ。肌とかめっちゃピチピチしてんもんなぁ。でもそんな若いとは思わんかったわぁ。…なぁなぁ、今度店飲みにこーへん?」 (はぁ!?こいつアホちゃうん。) 今でこそホストは色々と厳しい。スーツでキャッチ何かほとんど出来ないし、何より、大半の店が身分証の提示を求めてくる。無ければ入れない。が、少し前までは警察も甘かったのだ。 スーツでキャッチ何て当たり前。身分証の提示?何で? みたいな少しいい加減な感じだった。 だからこのホストが未成年と知っても店に誘ったのはそんないい加減な感じの代表的な表れみたいなものだった。 「未成年やで?」 改めて未成年ということを主張しても意味がなかった。 「だから?別に年とか関係ないって!てかミテコ(未成年)に見えへんから全然いけるって!」 意味が分からない。
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