1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
そう、そこで何かが起きた
青年の頬を涙が走る
ポタポタと涙が滴り落ちる落ちた涙は少女の頬を滑って行く
無論少女は表情一つ変えない
青年が涙を拭う
振り向いたその顔は怖いほど無表情だった
―「刹那」その言葉が相応しいだろうか
時間にしてほんの数秒の出来事だ
その少女を殺した犯人は…今やものいわぬ肉の塊と変わっている
…いや、塊とは程遠い腕は千切れ首は飛び内蔵は弾け飛んでいる。バラバラだ―この場合肉の欠片…いや切れ端と呼ぶべきだろう
この肉片に人間の面影など寸分も残っていない…
自分の着ていた赤く染まったYシャツを少女の裸体に被せる
涙の跡を隠すように紅く血が飛び散っている
青年が少女を抱え上げる
少女の腕が力なく垂れ下がる
それを見て青年はまた涙を流す
もちろんどれだけ涙を流してもなんにもならないことは十分わかっている。しかし、こればかりは…しょうがない。目の前で最愛の人を…殺されたのだ。
しかも散々犯され…回された上で…
この涙は悲し涙で悔し涙なのだ…
最初のコメントを投稿しよう!