未完成詩―遺跡

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  過去、饗宴と戦いの入り乱れた部屋で  残滓の様に  呻く 緑の陰影  思念する石達 は 開くことを辞めた  後遺症 『星空と風雨に 眼を閉じ 不眠症に  引きこもる』 嬌艷なるデバターの肢体 穴が空いた空  (井戸と成すには水は枯れ) 歪曲を強く  降下する口 細やかな生活音が  運ばれて来て去る 彼らの娘たちは幼く  夜に喰われた 紫煙の立ち込める  男達の部屋 乾物干す漁夫  海風は頭をもたげ 濡れた石壁が  銀色の望郷を映す  黒く煮た臓物が立っている 爪で撫でるレリーフの肉 枯木に歯を当てている  老人の 皺は幾重にも埋められている 土の中で まどろみを反射する壁を抜ける 降下の様に  結果しかない そう 私は  そこにいる ホワイトノイズとモザイクを放送する眼球が めくらであったから  思念しつつ 開くことを  辞めた ならば腕に企みを載せて 処刑場の  うらぶれた赤に 遺跡の重みを  刻めば良い
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