第1章四天王の別れ

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「止めてもあなたは帰ってこない。 それは私がよく、わかっているつもりです。 なんせ、私とウーノは、 幼き頃から共に歩いてきたのですから。」 若はそう言って優しく微笑んだ。 今にもあふれてきそうな涙を、 その大きな瞳で溜め込んでいる。 「早く行け、ウーノ。我らの気が変わらぬうちに。」 「そうそう!でもさ、いつでも帰ってきてよね! ウーノが帰ってきてもいいように、 平和な世界を保っておくからさ!!」 「ツースト、フォース……。……すまない。」 ウーノの大きな背中を、三人は見送った。 泣き出すフォースをなだめながら、 ツーストは若を見た。 そこには、ちゃんと涙を流さずに見送らなくては と強い意志で見守っている、りりしい姿があった。 「馬鹿者め。嫌なら本心を言えばいいものを。 後悔するぞ?若。」 「後悔しているのは彼も変わりません。 ウーノはああ見えて、心優しいのですよ?」 クスクスと若は笑った。 もう見えなくなった彼の姿。 もういいだろう。 今まで溜め込んできたものが、 いっきに流れてきた。 「私だって……いつまでも、共に……」 「今日だけだ。今日だけその仮面を脱げ、若。 明日から、戻ればいいだろう?」 「ツースト……!」
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