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第二章終わりを告げる鐘の音
ウーノは街に来ていた。
今まで見たことのないようなものがある。
出店、宿、広場で騒いでいる街の住民。
すべてが刺激的で、とても楽しかった。
だが、やはり三人のことがひっかかってならない。
「……若……」
ウーノはそっと後ろを振り返った。
三人が走ってくる。それにウーノは驚いた。
「若!ツースト!フォース!」
だがそれは幻。その幻はすぅっと彼の体をすり抜けていった。
だが、声は聞こえてくる。自分を呼ぶ、懐かしい声。
振り返ってはならない。もうあそこには戻れない。
わかっていた。それを理解していながら、
自分はあの聖域から出てきたのだ。
もしこのまま戻ってしまったら、
あの決心の意味も、なくなってしまう。
(僕は進まなければならない。彼らの意思のためにも!)
「我が声に応えよ、そして歌え。風の精霊よ……。
願わくば、我が友人の風の噂を我に届け給え……」
ウーノの周りに強い風が吹き荒れる。
彼の能力のひとつだった。
風の知らせ、またの名を、虫の知らせ。
風がすべてを伝えてくれるのだ。
とりあえず、彼らに問題はないらしい。
安堵の息が漏れた。
「何故、気になるんだ……」
「ウーノじゃないか……」
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