第二章終わりを告げる鐘の音

2/4
前へ
/12ページ
次へ
声のした方に視線をやると、 そこにいたのは若の兄である日向 文彦だった。 珍しいと言いたげに、ウーノのことを見つめている。 「若達はどうしたんだい?お前一人で出歩くなんて。」 「……恩師、申し訳ありません。僕はもう四天王ではありません。」 「お前だったのか。やめたというのは……」 俯くウーノを見て、文彦は笑った。 兄弟であるせいか、全てが若そっくりで、 ついつい振り向いてしまいそうになったが、 ウーノはそれを踏みとどまった。 「後悔してるみたいじゃないか。」 「そ、そんなことは……!」 「何年お前に剣を教えたと思っている?わかるよ。 どうせ、フォースと若が泣いたんだろう? 大丈夫。あの子達は強いよ。 だからこそ、大人達を倒し、四天王になったんだから。」 そう言って文彦はウーノの肩をそっと大きな手で包み込んだ。 彼の負担が、少しでも軽くなるように。 それが自分から弟子にできる最後のことだから。 「ウーノ、若のために君は進むんだ。 出て行った以上、君はもう……」 「わかっています、恩師。僕はもう振り返ってはならない。 ……三人のこと、お願いします。」 「バレていたのか。」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加