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声のした方に視線をやると、
そこにいたのは若の兄である日向 文彦だった。
珍しいと言いたげに、ウーノのことを見つめている。
「若達はどうしたんだい?お前一人で出歩くなんて。」
「……恩師、申し訳ありません。僕はもう四天王ではありません。」
「お前だったのか。やめたというのは……」
俯くウーノを見て、文彦は笑った。
兄弟であるせいか、全てが若そっくりで、
ついつい振り向いてしまいそうになったが、
ウーノはそれを踏みとどまった。
「後悔してるみたいじゃないか。」
「そ、そんなことは……!」
「何年お前に剣を教えたと思っている?わかるよ。
どうせ、フォースと若が泣いたんだろう?
大丈夫。あの子達は強いよ。
だからこそ、大人達を倒し、四天王になったんだから。」
そう言って文彦はウーノの肩をそっと大きな手で包み込んだ。
彼の負担が、少しでも軽くなるように。
それが自分から弟子にできる最後のことだから。
「ウーノ、若のために君は進むんだ。
出て行った以上、君はもう……」
「わかっています、恩師。僕はもう振り返ってはならない。
……三人のこと、お願いします。」
「バレていたのか。」
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