第二章終わりを告げる鐘の音

3/4
前へ
/12ページ
次へ
文彦はそのまま進んでいった。 それが死への道だということを、 この時二人は気付いていなかった。 しばらく時は経ち、ウーノが旅に慣れてきた頃、 風の精霊が音をウーノに伝えた。 それは、聞き覚えのある音だった。 「警鐘!?」 その中にかすかにある音は、仲間の声。 《くそ……。ウーノがいれば……》 《ないものねだりだよ、ツースト。 それに、約束したジャン! ウーノが帰ってきてもいいように、 平和な世界を保っておくって!! 頑張ろうよ。ウーノが安心して帰ってこれるように。》 フォースとツーストの声にウーノは驚いた。 聖域から逃げてきた自分のことを、まだ想ってくれている。 ウーノは馬を借り、聖域へと戻っていった。 確かに外はおもしろかった。 聖域にいるよりも、遥かに。 だが、逆に聖域にしかないものもあった。 それは、《大切な人の、笑顔》 (待っていてくれ。すぐに行く……) 聖域に戻ると、そこはもう面影などなかった。 壁は崩れ、植物は炭や灰と化し、 足元にはたくさんの兵士の死体が転がっている。 「バカな……。……若たちは!?」 ウーノはすぐに自分達のいつもいる広間へと向かった。 そこにあったのは、見たくない現実―――
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加