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俺の腿を彼女のナイフが貫いていた。
「くっ…………かっ…ぁ……………」
激痛が走る。
痛すぎて逆に何も感じれなくなる。
「な……ナイフは吹っ飛ばしたろ?何で持ってるんだよ?」
「一本だけなんて………そんな無防備な状態で仕事なんか出来ないわ。」
とにかく俺はナイフを腿から引き抜いた。
これが間違えだった。
血が俺の腿を伝い落ちる。
「ーーーーーッ!」
ナイフが栓をしていたからさっきまで血が出なかったのか………。
一気に体中の血が抜けて気を失い掛けた。
というより一瞬失った。
その一瞬の隙を付き、少女は懐からまた別のナイフを取り出し構えていた。
ぎりぎりで避けたがもうこれは意識して避けたものではない。
本能の成し得る技だった。
血が固まってきたからか、少し心が落ち着いた。
冷静に物事を判断せねば。
幸い今居るキッチンと玄関は近い。
なら。
俺は少女のナイフを避けると腹に蹴りをかました。
心は全然痛まない。
大急ぎでキッチンから玄関へ向かい、家から出た。
少女は追い掛けてくる。
俺は後ろも振り向かず逃げる。
「何処へ行くのお兄さん?」
少女の走るスピードはかなり速いようだ。
こっちは全力疾走だがあっちはまだ喋るだけの余裕を残して走っていた。
知らず知らずの内に俺は人込みの少ない場所を逃げていた。
一一一一一一ドスッ一一一一一一
背中に鈍い痛みが走る。
見ればナイフが刺さっていた。
深くは刺さってないようだが痛い。
「投げやがったな。」
俺はとりあえずナイフを引き抜く。
俺はこのナイフで戦おうと考えた。
あっちもナイフ使ってくるなら正当防衛。
罪にはならない筈だ。
俺はナイフを持ち少女と対峙した。
「逃げないの?」
少女は問う。
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