眠気:破壊衝動

2/5
前へ
/14ページ
次へ
メモにはマスターの字でこう綴られていた。 『昨日は散々酔ってたな。』 ああそうか。 昨日俺はバーに行ってマスターと話してたんだ。 『お前は酔いすぎてぐっすり寝ていたぞ。』 ああマスター人が悪い。 起こせよ! 『嫌まぁ起こそうかと思ったが……あんまりにも気持ち良さそうで何だか……という感じだったのだ。』 すげぇなぁ! おい! 俺と何気に会話成立してらぁ。 『どうだ。不思議だろ?メモと会話するこの感覚。』 すげぇーーー! 有り得ねぇだろ! 普通。 何こっちの心全部読んだで会話っぽくしよう的なこのメモ。 『まあ落ち着け。とにかくだ。お前を起こすわけには行かない私はタクシー呼んで、お前んちまで送っておいた。タクシー代はお前の財布から出したぞ。』 うっ! 高く着く。 確か財布には5万円入ってたな。 こことバーまでの代金はせいぜい500円といったところか。 俺は財布をチェックする。 財布の中には49500円入って……… 無かった!! 財布の中は空っぽ! あの糞マスターがー! メモにはP.Sがあったので、とりあえずそれを読む事にした。 『財布の確認済んだか?まあ良いだろ?国発展の為ならその身も削る。それが希望党だろ?』 これは国発展の為じゃなくて店発展の為だろーがー! 今日の議会で今年の通常国会は終わる。 本当は今日、希望党の打ち上げなのだがそうは行かない。 延期をさせ俺は凄い剣幕でバーへ向かった。 狙うはあのマスターの命のみ! ガラガラ……。 引き戸を開けると俺は憤怒の顔でマスターに迫る。 「あれは……どーいう訳かなマスターくん?」 俺はあえて疑問文で切り出す。 「わ……悪かった!ほら49500円だろ?」 あっさりマスターは49500円を俺に差し出す。 俺はそれを受け取るとカウンターに腰を下ろす。 「ったく……今日は希望党打ち上げだったのに。」 「すまなかったな。」 その瞬間引き戸が開く音がした。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加