3人が本棚に入れています
本棚に追加
メモにはマスターの字でこう綴られていた。
『昨日は散々酔ってたな。』
ああそうか。
昨日俺はバーに行ってマスターと話してたんだ。
『お前は酔いすぎてぐっすり寝ていたぞ。』
ああマスター人が悪い。
起こせよ!
『嫌まぁ起こそうかと思ったが……あんまりにも気持ち良さそうで何だか……という感じだったのだ。』
すげぇなぁ!
おい!
俺と何気に会話成立してらぁ。
『どうだ。不思議だろ?メモと会話するこの感覚。』
すげぇーーー!
有り得ねぇだろ!
普通。
何こっちの心全部読んだで会話っぽくしよう的なこのメモ。
『まあ落ち着け。とにかくだ。お前を起こすわけには行かない私はタクシー呼んで、お前んちまで送っておいた。タクシー代はお前の財布から出したぞ。』
うっ!
高く着く。
確か財布には5万円入ってたな。
こことバーまでの代金はせいぜい500円といったところか。
俺は財布をチェックする。
財布の中には49500円入って………
無かった!!
財布の中は空っぽ!
あの糞マスターがー!
メモにはP.Sがあったので、とりあえずそれを読む事にした。
『財布の確認済んだか?まあ良いだろ?国発展の為ならその身も削る。それが希望党だろ?』
これは国発展の為じゃなくて店発展の為だろーがー!
今日の議会で今年の通常国会は終わる。
本当は今日、希望党の打ち上げなのだがそうは行かない。
延期をさせ俺は凄い剣幕でバーへ向かった。
狙うはあのマスターの命のみ!
ガラガラ……。
引き戸を開けると俺は憤怒の顔でマスターに迫る。
「あれは……どーいう訳かなマスターくん?」
俺はあえて疑問文で切り出す。
「わ……悪かった!ほら49500円だろ?」
あっさりマスターは49500円を俺に差し出す。
俺はそれを受け取るとカウンターに腰を下ろす。
「ったく……今日は希望党打ち上げだったのに。」
「すまなかったな。」
その瞬間引き戸が開く音がした。
最初のコメントを投稿しよう!