眠気:破壊衝動

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風呂で酔いを洗い流す。 風呂のシャワーを浴びている間にまたしてもマスターが誰かと話しているのが聞こえた。 (マスター………誰と何のことを話してるんだろう?) 風呂から上がるとマスターと香織がアイスを食べていた。 「風呂上がりのアイスか?」 「香織ちゃんはな。だが私は風呂に入っていないから風呂前のアイスだ。」 「アイスは何でこう風呂上がりに合うんだろうな?」 「さぁな。」 マスターからアイスを受け取るとマスターの向かい、香織の隣に座った。 しばらくの間無言で皆アイスを舐めていた。 「さてと。私も風呂へ行くか。」 マスターが颯爽と立ち上がり風呂へ行った。 そしてマスターの後ろ姿を見送りながら俺の頭にもしかしたらという可能性が芽生えた。 「なぁ香織。」 「ん?」 「マスターと何か話してたか?俺が酔い潰れて寝ている間とか風呂行ってる間とか?」 「ほとんどしてないよー?アイスいる?くらいかな?」 香織に嘘をついている様子はない。 「じゃあ誰かこのバーに来たか?」 「来てないよ?」 「じゃあ電話は?」 「来てないよ?」 じゃあマスターは誰と話してたんだ? 独り言? ではない。 明らかに『会話』をしていた。 「何か気になる事。あるの?」 「嫌。」 「嘘吐き♪」 「嘘じゃないよ。」 「嘘吐き……。」 「う……嘘じゃねぇって。」 「嘘吐きッ!!!」 香織の口調が厳しくなる。 そういや香織に嘘吐き通せた事……ないな。 毎回これで自白させれる。 「で、何か気になる事ある?」 「あるよ。」 「フーン。でもあえて首突っ込まないよ。」 確かに首突っ込まないのが正解だろう。 あまり人様の気になる事に首は突っ込まない方が良い。 「でも何かあったら相談してね?」 「あぁ。分かった。」 「はい約束♪ゆびき~りげんまん、嘘ついたら針千本のーます♪」 「指切った♪」 そんな約束しながら俺は『香織はどうやって針千本集める気だろ?』と、余計な疑問を持ってしまった。 結局『まぁ香織はかなり危ない。針千本くらい軽く集めるだろうな。』という結論に落ち着いたがこれはどうでもいい話し。
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