忍び寄る影

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「カンパーイ!」   父さんの一言でパーティーが始まった 賑やかなのは苦手だが、心地好く感じる   「透、ちゃんと冬姫ちゃんの面倒見てあげなさいよ?」   「分かってるよ」   おつまみが足りなくなったのか、キッチンへ向かいながら言う母さんに苦笑を溢す すっかり冬姫の事が気に入ったようだ   「あの…ごめんね?」   「ん?あぁ…気にしないでいいよ」   謝ってきた冬姫に安心させるように笑いかければ、綺麗な微笑を浮かべる そんな時、父さんの様子が少し変な事に気付いた   「…………」   「お父さん、どうしたの?」   いきなり黙った父さんを不審に思ったのか、悟が質問する いつもならふざけながらも返事をしてくれるが、全く反応がない   「…父さん?」   「薫さん?どうしたの?」   戻って来た母さんも、父さんに話し掛ける この時、冬姫が笑って見ていた事に誰も気付かなかった   「……紅い………アカ……白が…」   そう言った瞬間、父さんが崩れるように倒れた   「薫さん!?いや、しっかり…イヤァ―――――――――――!!!」   「母さん!くっ…大丈夫、大丈夫だから」   「ワァ―――ン」   突然の事にパニックになる母さん 恐くなったのか泣き出す悟 俺は、必死に母さんを落ち着かせようとする 冬姫は、悟をあやすように抱き締める   「大丈夫…大丈夫よ?」   その姿は、とても美しい
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