12月20日

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「……」 校内がソワソワし始める。 あと5日で、クリスマスだからだ。 「すもも。今年のクリスマスだけどさ」 「クリスマス嫌い」 「相変わらずだねぇ。すもものクリスマス嫌い」 「だってクリスマスは……」 「外に出られないんだっけ」 本当は、外に出られない訳ではなく、一族ぐるみの仕事をしなければならないからだ。 「クリスマスには……いい思い出がないの……」 その一族ぐるみの仕事というのは毎年恒例で、ここまで言うとどんな人でもわかってしまうーーそう、すももの家はサンタクロースの一族なのだ。 そのことは、クラスの誰にも言ってはならないという掟になっているのだが、大体、自分がサンタクロースだと言って信じるような人間はこの世には存在しないだろう。 「そっかぁ……すももの家って厳しいね。恋人作っちゃいけないんでしょ?」 「うん……」 「すももだって好きな人いるのにね」 サンタクロースの一族では、サンタクロースの血が途絶えないようにと、一族の者としか結婚できない。 一般人と結婚するなんて以ての外なのだ。 その上、サンタクロースは生まれた時から婚約者を決められており、女子は16歳、男子は18歳になった時に婚約しなければならない決まりになっている。 すももは今年結婚しなければならない歳なのだが、生憎すももにはクラスメートに好きな男子がいる。 「全く……氷室君の事が好きだなんて、すももも物好きだねぇ」 「氷室君はいい人だよ」 「へぇ」 「優しくて、暖かくて……大好きなんだ」 そう言って微笑んだすももの笑顔は、まるで天使のようだった。 姫野すももは、クラス内外で男子からも女子からも人気がある。 小さい体と、童顔な顔がとても可愛いと人気なのだ。 その人気も、すもも本人の耳には全く届いていないのだが……。 ちなみに校内には姫野すもものファンクラブがあるとの噂もある。 そんな姫野すももの一番の親友は、永峰杏。 そして、すももが恋心を抱いているのが、氷室煉。
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