12月25日

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「おはよう」 すももは、珍しく上機嫌で、笑顔だった。 「今日はね、とってもいい日になるよ」 すももが言った後、すぐに電話が掛かってくる。 「もしもし」 『サンタクロース協会です。至急、サンタクロースの皆さんは、本部までご足労願います。心配はいりません。夜には終わります』 「わかりました」 すももの父親には、何故クリスマス当日になって、サンタクロースを召集するのか検討もつかなかった。 「すぐ、サンタの衣装に着替えなさい。今から、協会に行くよ」 「……」 状況が飲み込めないまま、協会へと向かう。 「全員揃ったな?今日、皆を呼んだのは他でもない。未来を作る若者たちから、ある意見が出たからだ」 ザワザワと、場内がざわめく。 「責任者前へ」 立ち上がったのはすももだった。 「サンタクロースはサンタクロースとしか婚約してはならないという規則を、なくしてもらいたいです」 「!?」 場内がさらにざわつく。 「サンタクロースの掟の中に、サンタクロースはサンタクロースとしか婚約してはならないとありますが、これは、サンタクロースの血が薄れて、サンタクロースの義務であるプレゼント配りのためのソリを動かす能力が薄れるため、という理由で、一般人との婚約は認められていませんでした。しかし、本当に血が薄れてしまうのでしょうか?」 すももが調べた結果、血の濃い薄いは関係ない事が判明した。 「血が濃くても薄くても変わらないのなら、この掟は不要だと思います」 これはすももの賭けだった。 考えて、考え抜いた結果だった。 「私もそう思います」 1人の少女が立ち上がった。 「俺も、そう思う」 次々と、若者が立ち上がっていく。 「では多数決だ。この意見に賛成の者は手を挙げよ」 半数以上の人間が手を挙げる。 「では、決定じゃな」 「やったぁ」 すももは喜び、飛び跳ねた。
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