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「すももさん、すごいです」
伊織はすももに駆け寄った。
「伊織君……」
「僕も、愛する人の元へ早く行きたいです」
まさか、愛の力で、一族の掟を覆すことができるとは思ってもみなかった。
「お幸せにね」
すももを見て、伊織は悟った。すももが掟を変えたのは、自分のためだけではないと言う事を。
「あ…僕に好きな人がいると言う事ーー知っていたんですか?」
「いろいろ調べたら、確信したよ。それに、私たちと同じ考えの人がたくさんいたから、できたんだ」
すももは微笑み、伊織と別れて両親と共に帰る。
「すもも……」
「早く戻ろう。じゃないと、協会から家まで遠いから、間に合わなくなっちゃう。心配かけてごめんなさい。お詫びに伊織君の分まで、プレゼント配るよ」
「プレゼントの事はいいんだ。それよりも……」
「お父さん」
何か言おうとする父親を、母が制した。
「わかっているさ」
父親は微笑した。
「さて、早く帰ろうか。晩御飯を早めに食べなければならないな」
「帰ろうか」
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