12月20日

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氷室煉は成績優秀、運動神経抜群、高い身長にクールなポーカーフェイス……とここまではいいのだが、氷室は女子が告白しても眉一つ動かさず、冷たく女子をフるのだ。杏が「物好きだね」という理由はそこにあった。 フラれた女子は数知れず……。 そんな相手にすももが告白するなど、杏にとっては以ての外だった。 すももには出来るだけ安全な人生を送ってほしいというのに、氷室に告白してフラれたら彼女の心に一生物の傷をつけてしまう。 それが嫌だった。 すももが氷室の事を好きだと言うことは、杏しか知らないが、もし校内にその事を伝えれば、全員がすももの告白を阻止しようとするだろう。 「冬休みもあるし、クリスマス何かできなくても、他の日にプレゼント交換か何かしようか」 「うんッ」 嬉しそうに頷いたすももは、抱きしめたくなるほど可愛い。 「あ、お買い物してくる予定だった……」 母に頼まれた買い物をするために、すももは杏と別れてスーパーへ向かう。 「リンゴと、キュウリ、タマネギ、ピーマンに……」 買い物カゴの中身を確認し、レジへ向かう。 「ん~」 買い物を終え、スーパーを後にしながら、家に帰る。 ドンッ 「きゃ……」 誰かとぶつかってすももは小さく悲鳴をあげた。 「あ……」 「姫野」 氷室煉だった。 「氷室君、どうしたの?」 「別に」 氷室は素っ気ない返事をすると、すももの荷物を代わりに持った。 「ありがとう、ごめんね……。荷物……」 「俺が勝手に持っただけだ。気にするな」 どうやら、このまま家に送ってくれるらしい。 「今年は……ホワイトクリスマスになりそうもないね。もう20日なのに、雪が全然降らない……」 「いや……今年は降るぞ」 「え?ホント?氷室君が言うならホントなんだよね」 「嘘は言わない」 「じゃあ楽しみかなぁ」 告白することも叶わない。 だが、好きな相手が目の前にいる。 告白できたら、どんなにいいだろう。 「あ、ここで大丈夫。ありがとう」 家の前まで来て、荷物を受け取る。 「ごめんね、お茶も出せないで……。うちのお父さん、私が男の人と歩いてるのを見るのだけでもいやなのに、家に入れたらもっと嫌がるから……」 「ここで構わない」
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