戦士と火竜

14/20
前へ
/23ページ
次へ
流石のリオレウスもカウンターを喰らって脳を揺らされたらしく、脚がもつれて倒れた。   「うおぉぉおぉ!」   アレンは力一杯腕を振るい、飛竜の翼の三分の一を大剣で切断してもぎ取った。一方バゾーは何度も背中にスピアを突き刺している。激痛に悲鳴を上げるリオレウス。と、その時だった──   バゾーは何が何だか解らないうちに飛竜の背中から突き落とされた。と同時に彼の上を影が凄まじいスピードで飛んでいき、生暖かい液体が彼の身体に附着する。そして直後にグシャッと奇妙な音がした。   「ッ?!」   慌てて立ち上がり、影が飛んだ方を見る。数m先には岩壁が有った、そしてその下には──   血まみれの人間が居た。   「ア、アレン!!」   直ぐに駆け寄り、彼の様子を見るバゾー。だがそれは酷い有り様だった。在らぬ方向へ腕が曲がり、目玉が片方潰れて、胸から紅い鮮血が吹き出している。   アレンはバゾーの身代わりになって巨大な尾で弾き飛ばされたのだ。狩人の肩が怒りに震える。   「…殺ス…絶対ニ殺シテヤル」   仮面を外し投げ捨て、リストブレイドとスピアの刄を解放するバゾー。そして彼は飛竜の方へと走り出す。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加