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流石のリオレウスもカウンターを喰らって脳を揺らされたらしく、脚がもつれて倒れた。
「うおぉぉおぉ!」
アレンは力一杯腕を振るい、飛竜の翼の三分の一を大剣で切断してもぎ取った。一方バゾーは何度も背中にスピアを突き刺している。激痛に悲鳴を上げるリオレウス。と、その時だった──
バゾーは何が何だか解らないうちに飛竜の背中から突き落とされた。と同時に彼の上を影が凄まじいスピードで飛んでいき、生暖かい液体が彼の身体に附着する。そして直後にグシャッと奇妙な音がした。
「ッ?!」
慌てて立ち上がり、影が飛んだ方を見る。数m先には岩壁が有った、そしてその下には──
血まみれの人間が居た。
「ア、アレン!!」
直ぐに駆け寄り、彼の様子を見るバゾー。だがそれは酷い有り様だった。在らぬ方向へ腕が曲がり、目玉が片方潰れて、胸から紅い鮮血が吹き出している。
アレンはバゾーの身代わりになって巨大な尾で弾き飛ばされたのだ。狩人の肩が怒りに震える。
「…殺ス…絶対ニ殺シテヤル」
仮面を外し投げ捨て、リストブレイドとスピアの刄を解放するバゾー。そして彼は飛竜の方へと走り出す。
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